札幌ドームへの愛憎相半ばする想い

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「札幌ドーム」と「日ハム新球場」の残酷な明暗

北海道にプロ野球チームが来て定着した、そのための本拠地としての札幌ドームの存在にはファンとしても感謝してる。でもその後は現状の通りだし、日ハムがボールパーク作りたければ出ていくしかなかったとは思う。

2024/03/18 01:15

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この記事にブコメしましたが、書き足りなかったので少し補足的に。

 

いち地元のプロ野球ファン(というか北海道日本ハムファイターズファン)として、札幌ドームへの感情は複雑です。

北海道は元々ある程度の野球熱はあり、かつては円山球場などで行われるプロ野球の試合を楽しみにしている人も多かったようです(私はその頃はまだプロ野球に興味も無かった頃ですが)。また地方では割とありがちですがかつてはテレビの野球中継といえばジャイアンツ戦が主で、それもあって北海道ではジャイアンツファンの比率が高かったようです。

そんな中で2004年から日本ハムファイターズが東京ドームから札幌ドームへと本拠地を移転することになったわけですが、そもそも札幌ドームはそれ以前に2002年のFIFAワールドカップの会場として建てられました。そしてサッカー専用の競技場としてではなく、そこにプロ野球にも対応した多目的球場として札幌ドームは作られたわけです。

当初は札幌ドームを本拠地とする球団は無く、ジャイアンツなどが地方遠征として年に数試合を開催するという形が続きました。その後ファイターズが北海道に移転し、そこから約20年の間に何度かのリーグ優勝と日本一を達成、プロ野球の歴史にもファンの印象にも残る多くの試合が札幌ドームで行われてきました。

ファイターズの北海道移転のキーとして、札幌ドームの存在は不可欠でした。ファイターズの北海道移転が成功し、北海道にプロ野球チームが来てくれたのも札幌ドームの存在なしにはあり得なかったわけですから、ファンとしてはそこに札幌ドームへの感謝の念というのはもちろんあります。

 

しかしファイターズがエスコンフィールドに本拠地を移転するまでの顛末は多くの人が知る通りで、その部分を見るとやはり札幌ドーム側のファイターズへの対応は厳しいものであったと言わざるを得ません。札幌ドームの今後にとって明るい材料というのも正直見つからず、札幌ドームの先行きがどうなるのかは不透明です。

ただ、ファイターズが移転してくる前の札幌ドームのように、プロ野球の開催機能を持った球場というのは各球団の本拠地以外にも各地にあります。そういった球場があるおかげで地方であってもプロ野球の試合を現地で観戦する機会を得ることができますし、楽天イーグルス創設時の宮城球場やファイターズ移転時の札幌ドームのように、球場があったおかげで地元にプロ野球チームができるというケースもあります。

そのような公共財的なものとして札幌ドームのような球場施設というのはあってよいし、むしろ必要なものだと思います。そしてそういう役割の施設であれば、施設としての黒字化は難しくても地元住民に維持のための負担が発生することに対する反発はそこまで大きなものにはならなかったでしょう。

札幌ドームの現状に冷淡な反応が多くなった原因の一つとしては、やはりファイターズに「出て行かれた」ことでそこから得られる収益を自ら棒に振ったとみられていることが大きいでしょう。そしてその要因として札幌ドーム側がファイターズへ厳しい対応を続けたことで、ファイターズが自前の球場を建設することによる本拠地移転に「踏み切らせた」というのが大きいように思います。

札幌ドームは一度は得られた大きな収入源であるファイターズに対して良好な関係を続けることができず、むしろ締め上げるような対応を続けたことで反発された、札幌ドームの現状は自業自得が招いた結果では…という見方をする人も少なくないでしょう。打開策の一つとしてネーミングライツを売却しようとしてはいますが、過去には名乗りをあげた企業もあったものの結局は折り合いが付かず、また今の売却予定価格もファイターズが移転した後としては強気の設定であるなど、ややピントがズレた印象を受けます。

 

一方、2023年に開業した新球場であるエスコンフィールド北海道とボールパークであるFビレッジは今のところ順調のようです。私も何度か足を運びましたが、球場内外の施設は充実しており、単に野球観戦に行く以外でも楽しめる施設となっています。

ただ、ファイターズ(と親会社である日本ハム)が本腰を入れればこれだけの施設を作り得たことを考えると(しかもボールパークとしては大学の誘致などまだまだ発展させるつもりであるとのこと)、あのまま札幌ドームに居続けるのは無理であったのではとも思います。札幌ドームの周辺には農業研究センターの敷地などもあり、おそらくあまり自由に開発することはできなかったでしょう。移転候補地として当時挙げられていたいくつかの場所(北海道大学構内、真駒内公園など)もおそらく似たようなもので、今のエスコンフィールド・Fビレッジを一つの完成図としてみた時に、これらを建設できるキャパシティのある候補地は今の北広島市ぐらいだったのではと思います。それ以前に札幌ドーム側がファイターズを指定管理者にしていればまた違う結果になった可能性はあったのかもしれませんが、それでもボールパーク全体の構想とはあまりマッチしなかったのではと思います。

 

ですので、書きたかったことをまとめると上記のブコメの通りではありますが、地元にファイターズが来てくれたのは札幌ドームがあったおかげではあるし札幌ドームで何度も野球観戦を楽しんできたけど、札幌ドーム側のファイターズへの対応は結果として本拠地移転に繋がるものだったし今のエスコンフィールドを見ると札幌ドームに居続けるのも無理だっただろうな、といったところです。